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消化器外科に看護師がブランクを経て再就職すると、どんな弱み・強みがあるの?

ブランクがある看護師が再就職する時は、ちょっと勇気が必要かもしれませんよね。

「ブランクがある」と言ってしまうと再就職には不利なような気がするかもしれません。看護師という仕事柄から見ても、あなた自身もブランクを置いての仕事に不安があるかもしれません。

また、結婚や出産や子育てなど、ブランク前と比べてあなたの身の回りの環境が大きく変わっているかもしれません。

それも、消化器外科病棟のように特徴がある分野ならどうでしょうか?ブランクがある人が再就職できるのかどうかもわかりませんし、不利になるかもしれませんし、働いてから困ることもあるかもしれません。

ここでは、ブランクのある看護師が消化器外科に転職するときどんなことが起こり得るのか、再就職にはどんなことに気を付ければ良いのか、を見ていきましょう。

ブランクがあることでの弱みが具体的になれば再就職の前に気を付けておくことができますし、もしかしたらブランクのあるあなたにも意外な強みも見つかるかもしれませんよ。

目次 [目次を隠す]

子育て中の看護師がブランクを経て消化器外科へ再就職するお話

それではまず、ブランクがある看護師が消化器外科に再就職したらどんなことが起こるか、見ていきましょう。

産休から7年、子育てをし始めてから初の再就職先は消化器外科病棟で大丈夫?の巻

育子(32歳)は看護師3年目で結婚してすぐに子供ができたため、出産を機に退職しました。7年休職していたのですが、長女が小学校に上がるのを機に再就職することにしました。

以前勤めていたのは中規模病院の消化器内科でしたが、今回は下の長男のために職員用の保育園が確保されて自宅に近い大病院に再就職。特に配属を希望したわけではないのですが、消化器外科病棟への配属になりました。

育子心の声(ブランクもあるし、前の病院とは違ってこんな大きな病院の消化器外科、大丈夫かなぁ?配属希望にこだわると採用されないかと思って、あえて特に希望を出さなかったんだけど・・・。)

配属初日、どんな一日が始まるでしょうか?消化器外科病棟に来て最初に育子を出迎えてくれたのは内田看護師長でした。

内田師長「育田育子さんですね、おはようございます。消化器外科病棟にようこそ!久しぶりの白衣に病棟、緊張してますか?」

育子「おはようございます。仕事も久しぶりですし、やっと看護師として自立できた頃に退職してブランクも長いですし、消化器外科も初めてなのでちょっと緊張しています。」

師長「それはそうでしょうね。以前は消化器内科に勤めていたんでしたよね?それなら、解剖生理や病態生理の知識があるでしょうから、活かせると思うわよ。」

育子「そうでしょうか?もう忘れかけていますよ。」

師長「でも、ブランクはあっても業務経験がある人に来てもらうと、新卒の人を採用して一から指導するのとはやっぱり違うものなのよ。人生経験も違うしねぇ。」

育子(そう言ってもらえると嬉しいけど、期待を裏切ることにならないか、自分が心配にもなるなぁ。)

師長「技術はどんどん進歩しているし、ここ数年でも患者さんの高齢化とか色々と情勢も変わっているから、経験があっても勉強しないとやっていけないご時世なのよ。少しずつ思い出していきましょう。」

育子「はい。」

育子(そうだな、実際に業務に時間を使うだけじゃなくて、勉強もしないとついていけないかも。)

師長「今日は初日だし、うちのベテランさんにオリエンテーションも兼ねてペアで指導してもらいますね。すぐに仕事の感覚を思い出すわよ。頼りにしてるわよ。」

育子は自分が思っていたよりも師長の期待が高いことに戸惑いました。そこに師長が先輩看護師を一人連れてきて紹介してくれました。

師長「こちら、今日あなたを指導してくれる体子さんよ。体子さんはうちの病棟でも珍しく、子育てしながら働いてきたベテランさんよ。色々教えてくれるわ。」

体子「体山体子です。よろしくお願いします。」

体子はこの病院の外科や泌尿器科で数年働いた後、出産と子育てのため3年ほど休職して復帰して3年になる看護師ということでした。育子は下の子が同い年くらいだな、と思いました。

体子「きっと、私達は少し状況が似てるから、共感できることも多いと思うわ。他のスタッフはけっこう若い独身が多いからね。」

育子「そうなんですね。どうしてですか?」

体子「体力を使うからかな?忙しいし・・・どうしても体力に自信がない年配の人とか、結婚したり出産・育児となると異動を希望して消化器外科病棟を出てしまう人もいるからね。」

育子「体力ですか・・・。」

体子「育子さん、消化器外科は初めてなのよね?今日はまず仕事の流れや患者さんの特徴から説明していくわね。まあ、実際に働いてみないとどうかはわからないわよ。」

育子「はい、そうですね。」

体子「まぁ、最終的には気合で頑張らないと仕方がないこともあるわよ。」

育子「気合い、ですか・・・。」

体子に消化器外科は体力を使う、と言われても今一つぴんとこない育子でした。体子は外科系でずっと仕事をしているので、消化器外科病棟ならではの体育会系のノリで頑張ってやってきていたのです。

でも、体子が一日の処置を確認しているところを見ていると、育子にも少し消化器外科の忙しさがわかってきたような気がしました。

育子「処置が多くないですか?こんなに清潔の介助や点滴があるんですか?それに患者指導も・・・。」

体子「そう?今日は育子さんを指導しながらの業務だから少なめなほうよ。消化器外科では患者さんは手術を受けるのが基本でしょう?だから日常生活援助も多いし、欠食になるから点滴も多いかもね。」

育子「そうか、消化器の手術を受けるとそうなるんですね。」

体子「指導も多いかもね。術前のオリエンテーションに術前訓練でしょう、術後リハビリに食事指導に退院指導、血糖測定に人工肛門・・・抗がん剤も物によっては指導するのよ。」

育子「うわぁ。」

体子「他に意外と時間がかかるものとしては、手術の送り迎えとか、手術直後や抗がん剤治療の経時観察とか、尿量とドレーンの排液のリセットと計算とか、あとは・・・移送ね。」

育子「大変・・・」

体子「処置表には書いていられない処置もあるわよ。ナースコールに、ガーゼ交換に、トイレ歩行介助とか、せん妄患者さんの見守りとか・・・そう、記録もね。」

育子「そんなに一日でできるんですか?」

体子「できるって言うか、やらなきゃいけないのよ。頑張るしかない。」

淡々とそう言う体子の横顔を見ながら育子はさらに不安な気持ちを募らせるしかありませんでした。

育子(休職前に私が働いていた病棟では、こんなに処置がある日はあまりなかった。久しぶりに働いて、こんなにたくさんの処置をいきなりやるのは大変だわ。)

育子「こんなに処置があったら、体力を使うのも無理はないですね。」

体子「あと、力仕事やかがんだりする仕事が多いのよ。移送に清潔にガーゼ交換。まぁ、習うより慣れよってね。」

体子は軽く体育会系さながらの言葉を言いました。育子は小さく頷いていましたが、実は心の中でもう一つ困った、と思ったことがありました。

育子(私が働いていた時は電子カルテなんて使ってなかった・・・オーダリングシステムはあったけど。私はパソコンも苦手で最近使ってないし、こんなのすぐにできないかも。)

体子「どうしたの?育子さん?」

育子「あ、えっと、パソコン・・・使えないんです。以前働いていた病院はそんなに規模も大きくなかったので、オーダリングシステムだけで紙カルテだったんです。」

体子「あらら、そう。私もちょうど復帰する直前くらいに電子カルテ導入になってたから最初は困ったけど、これも慣れるわよ。」

育子「はぁ・・・」(パソコンかぁ、こんなこと、想定外だったなぁ。)

体子「よし、今日も頑張ろう!しんどいことばっかり考えてても仕事は進まないから、こういう時は体を動かして仕事するに限るのよ。」

また体育会系の雰囲気を醸し出しながら、手早く点滴やガーゼの準備を済ませると、体子は育子を引き連れて検温に出発しました。

育子(さらっと準備しているけど、ガーゼなんかの材料も色々あるし、こういう物品にも慣れないといけないなぁ。内科にはあまりこんな材料もなかったし・・・。)

育子「私、内科だったのでガーゼの種類や扱いにも慣れていないんですけど・・・。」

体子「そうよね。材料はナースステーションにもあるけど、医師用のワゴンには一揃えあるから最初に物品を覚えるにはいいかもね。ガーゼ交換は実際にやりながら説明するわ。」

育子「お願いします。」

体子は検温に向かう途中、消化器外科看護について説明してくれました。

体子「消化器外科の看護で大事にしていることは大きく2つ、観察して命に関わる状況を判断することと、術後の回復を促すこと。特に術後リハビリはとても大事なの。」

育子「なるほど・・・。」

体子「育子さん、覚えることや後で調べたり勉強することがたくさんあると思うから、何でもメモにとって後で振り返るようにしたほうがいいわよ。」

育子「あ、すみません。」(そうか、新卒の頃は何でもメモしていたなぁ。こういう感覚も忘れていたわ・・・。)

体子「ブランクがあると、忘れていることも結構あるし、それに若い時と比べると覚えたりするのが大変になってくるのよ。これ、自分の反省も含めて言ってるんだけどね。」

体子は苦笑いしながら言いました。

体子「できるできると自分では思っていても、ブランクがあると知識だけじゃなくて色んな感覚も忘れていたりするし体力も違うし、それに比べて医療技術は進んでいるのよね。」

育子「そうか、自分の時間が止まるだけじゃなくて、周りは進歩するんですね。」

体子「そう。だから、働いていた時に常識だったことが、復帰するとそうでもなくなっていたりもするわけ。これ、今から看に行く患者さんのクリニカルパスなんだけど、見て。」

育子「クリニカルパス・・・」

体子「うちの病院は大規模だし急性期病院だから、かなりクリニカルパスは整備されているのよ。ここに医師の指示も、判断の基準や看護の内容もあるから、最初は参考にするとわかりやすいわよ。」

体子「それ、育子さん用にプリントアウトしたから、気づいたことなんかを書き込んで見ると便利よ。」

育子「ありがとうございます。」

体子「私たちは子育てもあるから、できるだけ効率良く時間を使いたいでしょう?家に帰ったら勉強の時間なんてないから、仕事しながら理解して覚えられると一番助かるのよね。」

育子「勉強の仕方も考えないといけませんね。」

体子「うん。やっぱり消化器外科は病態生理や術後の回復過程に理解がないと良い看護ができないからね。さあ、これから術後1日目の患者さんの観察と歩行訓練に行きましょう。」

体子と育子は昨日大腸切除術を受けたという80歳の大川さんの個室に入っていきました。

体子「大川様、おはようございます。本日、日勤で担当させていただきます体山です。今日はこちらの育田と2人で担当しますね。よろしくお願いします。」

大川「・・・よろしく。」

大川さんの娘「よろしくお願いします。」

体子「大川様、これから体温や血圧を測って、お腹の傷も見せて頂きますね。傷の痛みはどうですか?」

大川「じっとしていたら痛くないよ。でも、動くと痛いわね。痛み止めは効いているの?」

体子「じっとしていて痛みを感じない程度でしたら、よく効いているほうですよ。」

娘「夜も寝返りする時以外はよく寝ていたと思います。おばあちゃん、そりゃ、手術したんだもの、痛いわよ。」

大川「ふん、自分が手術してないからそんなことが言えるのよ。」

体子「そうですね。体温も血圧も大丈夫です。お小水もよく出ていますよ。では傷を見ますので失礼しますね。どれどれ・・・。」

大川さんは人工肛門も造設していました。手術翌日の人工肛門を育子は初めて見ました。手術の傷を見るのも学生時代以来でしょうか。ガーゼや透明なテープが貼ってあり、見たこともない様子になっていました。

体子「傷は問題ないですね。出血もないようです。ガーゼを交換しますね。」

体子はまず、傷のガーゼ交換から始めました。手指消毒して不潔グローブをはめ、ガーゼを交換しています。

育子「消化器外科では看護師がガーゼ交換するんですね?」

体子「消化器は準不潔領域だからね。10年ちょっと前なら清潔操作で大変だったんだけど、今はあまりそれにエビデンスがないことが判っているから。傷の管理の仕方も最近ですごく変わってきているわ。」

体子「絶対清潔の部位や洗浄が必要なガーゼ交換はドクターがやることもあるから、そこは確認が必要だけどね。この透明な材料は交換なしで、48時間くらい経てば剥がして、浸出液がなければ傷は剥き出しでいいの。」

体子「ガーゼを交換しながら傷やガーゼの汚れ具合を観察してね。ガーゼの浸出液や出血が多い時には重さを量って記録したりもするわ。」

体子は手早く説明しながらも、しっかり清潔と不潔の区別をしていることを説明したり、傷の様子やドレーンの扱いなども説明してくれました。

育子は見たこともない傷や物品に驚いたり、この数年でも色々と技術や創傷管理の考え方が変化してきていることなどに感心したりしながら、メモにとって聞いていました。

体子「じゃあ、大川様、次は人工肛門の袋を交換しますね。」

大川「あんまりそれのことは言わないでちょうだい、そんな所からお通じが出るなんて、こんな体になって情けないわ。」

育子(そりゃそうよね。私でも自分が人工肛門になったら嫌かもって思うのに、この年代の人には辛いわよね・・・。)

娘「またぁ、おばあちゃんはそんなことばっかり言って。看護師さん、私も見てもいい?へええ、こんなふうになってるんだ・・・。おばあちゃん、大きな梅干しみたいだよ!」

育子(確かに梅干しみたいだけど、娘さん言いすぎじゃない?大丈夫なのかな?大川様ショックを受けてるんじゃ?)

体子「今は手術をしたばかりなので腫れているんですが、腫れが引くともう少し小さくなります。大川様はお独り暮らしでしたよね?」

体子は人工肛門の大きさを測ったり色を記録したりしながら会話を続けています。

娘「そうです。退院したらしばらくはうちで面倒見ようと思っているんですけど、このとおりの頑固者で、どうしても独りがいいって言うもんですから。」

体子「それなら、やっぱり大川様にも人工肛門のことは覚えてご自分でできるようになってもらわないといけませんね。明日から早速、練習を始めますよ、大川様。」

大川「明日から?そんなの無理よ。」

育子(そうよね、私も無理だと思うわ。そんなにはっきり言っちゃったら、心が折れそう。)

体子「一度に全部じゃなくて、一つずつできるようになってもらいますからね。退院までにしっかり覚えましょう。じゃあ、今日は私がやります。横になったままやりますので、娘さん見ていていただけますか?」

娘「はい。お願いします。」

育子(娘さん、強いな・・・。それにしても、体子さん、言いづらそうなことをはっきり言うんだね、すごいなぁ。)

体子は育子と娘さんに人工肛門の観察のポイントと洗浄のしかた、装具の交換のコツを説明しながら手早く交換しました。

一通りガーゼと装具の交換が終わると、かがんで横で見ているだけの育子もさすがに腰が痛くなってきました。娘さんと二人で思わず腰を伸ばしている自分に気づいて苦笑いがこぼれました。

育子(これを何人もの患者さんを相手に1日に何回もやるのもけっこう大変だな・・・。)

交換したガーゼなどを手早く片付けると間髪入れずに体子は言いました。

体子「それじゃ、大川様、歩く練習をしましょう。まずは、起き上がって、ベッドの横に足を下ろして座るところからやりますね。」

大川「嫌よ、動くと痛いじゃない。」

体子「できるだけ痛くないように動く練習をしますからね。手術の前にも説明したとおり、手術の後はどんどん歩かないと、腸閉塞っていう怖い合併症がありますからね。」

大川「私を脅そうっていうの?」

体子「脅しではないんです。大川様は大腸の手術をしましたから、腸の癒着がとても起こりやすいんです。つまり、腸閉塞を起こしやすいんですよ?」

大川「・・・」

体子「それに、大川様は痛み止めの薬の関係であと数日は尿のカテーテルも入れたままになります。トイレに歩くこともないですから、どうしても歩く機会が少なくなってしまいます。」

体子「歩かないと、腸が癒着しやすいですし、腸の動きも悪くなってしまうんですよ。」

娘「おばあちゃん、説明してもらってたでしょう?手術の後は歩かないといけないんだって。おならも出ないといけないんですよね?」

体子「そうですよ。手術の前に練習したように動けばそんなに痛くないと思いますよ。」

大川「でも、管もあるし、怖いわ。」

体子「説明しますし、最初だから今は付き添いますよ。それに痛かったら、その時は痛み止めを追加します。」

娘「1回看護師さんに見てもらったら、その後は私がいるじゃない!やってみようよ。」

大川「本当に大丈夫?そばにいてよ。」

体子「大丈夫ですよ。任せてください。」

大川「看護師さんがいてくれるなら、やってみる・・・。」

育子(あんなに嫌がってたのに、説得成功!こういうやり取りをするのも大変だなぁ。)

体子は大川さんと娘さんに点滴やドレーン類の扱いを説明し、痛みを確認しながら丁寧に体の動かし方を説明して大川さんを座らせ、立ち上がらせました。

娘「やった、上手に立てたね!」

大川「うん、練習のとおりにできた。ここまで大丈夫だったから、ちょっと歩いてみようかな。」

体子「じゃあ、廊下まで出て部屋の外の空気もちょっと吸ってみましょうよ。」

大川「そうね。」

どんどん歩いていく大川さんの後姿を見て育子はとても嬉しくなりました。そばで娘さんも微笑んでいます。うっすらと目には涙が浮かんでいます。

娘「変ね、うちの子が初めて立った時を思い出したわ。年のいった母親を相手にして。」

育子「そうですね。私も今、感動しています。」

娘「母ね、手術を嫌がっていたんですよ。でも私たちが長生きしてって言うので受けてくれたんです。なのにどうしても同居しないって言うので、手術の前から看護師さん達にしっかり練習していただいたんです。」

娘「娘の私でも言いづらいような厳しいことも母のためだからって言ってくださって・・・本当にありがとうございます。あら、まだ早いかしら、これから私も頑張らなきゃ。」

育子(感動だな・・・こんな風に患者さんが歩く姿を見たり、家族に感謝されたり。こういうのが消化器外科の楽しさなのかな。)

大川さんと体子が廊下の突き当りで窓の外の景色を眺めてから折り返して戻ってきました。

娘「あんな弱気になってたのに、結構いけるね、おばあちゃん。」

大川「馬鹿にすんじゃないよ、あんた達を何人産んだと思ってるの?看護師さん、ありがとう、これなら少しずつ頑張れると思う。」

体子「無理はしないでくださいね。痛みが強くなったり、気分が悪くなったり、傷に何かあったりしたら、すぐに言ってください。」

体子と育子は大川さんを部屋に戻して病室を後にしました。

育子「結構厳しいこともはっきり患者さんに言うところを見てちょっとびっくりしました。でも、歩けた時は感動ですね。」

体子「リハビリは術直後から始まっていて、タイミングを逃せないのよ。患者さんにその時に必要なリハビリをしてもらうためにははっきり言うことも必要よ。嫌がっているからやらないっていうわけにはいかないの。」

育子「こっちも相当な覚悟が要りますね。」

体子「でも、無理を強要するわけではないし、どの程度のリハビリが適切かっていうアセスメントや痛みのケアは大切よ。私達はリハビリをしなくて合併症を起こすとどうなるかっていうことを知っているしね。」

体子「嫌がっている患者さんにどうリハビリをさせるかって、ちょっと子供のしつけなんかにも似てるかもね。看護師まで患者さんが嫌だって言ってることに振り回されるわけにはいかないから、こっちが大人として対応しないとね。」

育子「なるほど。子供のしつけ・・・。」

体子「そういう意味では、仕事に復帰してから育児経験があってちょっと良かったかもって思うこともあるわ。こっちは患者さんのためにやってるって、割り切りやすいというか信念を持てるというか。」

と廊下で話していると体子が持っているPHSが鳴りました。担当患者さんからのナースコールです。

育子「そういえば、ナースコールも多いですね。」

体子「そうよ、ちょっとホッとしていたらすぐに呼ばれるわよ。大川様のところで結構時間がかかったから他の検温と処置も急がなきゃ。」

体子「あっ、育子さん、大川様の点滴速度、座ったところでもう一度確認しておいて!私はコール対応に行ってくる!」

体子は急いでナースコールに出て、大部屋に向かって行きました。

育子(点滴の速度?なんか、計算式があったはずだけど、忘れているわ・・・どうしよう。)

まごまごしていると体子が戻ってきました。育子は点滴の調節ができなかったことを正直に伝えて、体子に教えてもらいました。

この他にも採血や点滴ルートの確保に導尿、吸引・・・患者さんに危険が及ぶ業務について育子は見学していましたが、道具も違うし、何より自分が手順をかなり忘れていることにショックを受けました。

育子(やっぱり、こういう細かいことは忘れているもんだなぁ。いきなりはできそうにないから、練習が必要なんじゃないかしら。)

その後も育子は患者さんの清拭を手伝ったり、検温を一緒にしたりしながら消化器外科での初日を過ごしました。処置をしている時の体子は手も口も頭もいっぺんに働かせているという様子でした。

育子(体子さん、全身フル回転で仕事してるって感じ。休職前の私も、ここまで忙しくなかったにしてもこんな風だったのかな。)

朝に話していたとおり、ガーゼ交換や清拭には手間もかかり、検査出しや手術のお迎えなど移送も多く、自分が全てやっているわけではないのに夕方には育子はへとへとになっていました。

16時、何とか一通りの処置を終えた様子で、体子は申し送りの準備と残っている記録を始めました。

体子「今日1日どうだった?久しぶりで疲れたんじゃない?」

育子「正直、疲れました。久しぶりというのもありますし、処置やナースコールが多くて忙しいですね。自分が働いていた時の記憶ももう曖昧ですけど、こんなに疲れたかなって思います。」

体子「ブランク前とは体力も違うし、慣れるまではどうしても何をやるにも時間もかかるし、力の入れ加減がわからなかったりするよね。」

育子「それに、思っていたよりも高齢の患者さんが多くて、こう言ってはいけないかもしれないですけど、何をやるにも手がかかりますよね。」

体子「そうなのよ。実はここ数年でかなり高齢者の手術は増えてるのよね。技術が進歩してるから。」

育子「自分が忘れていることも多いなと思いました。点滴の調節の計算とか、採血や導尿もできるかなっていう感じです。解剖生理や検査のことも、内科と似たことが多いはずなのに、忘れていることが多くて。」

育子「体も使うし気も遣うので、最近は感じたことがない疲れ方をしています。これで、ここから記録もやるんですよね、私、大丈夫でしょうか?」

体子「あはは、そうよね。私も職場復帰したときそんな感じだったわよ。採血なんかは安全にできるように技術を確認したほうがいいよね。」

育子「研修はありますか?」

体子「新卒さん向けの研修や技術チェックリストはあるんだけどねぇ。たぶん参加できるものもあるだろうから、師長さんに研修予定を確認してみようか?主には業務の中で確認、になるかな。」

育子「そうですか・・・疾患の勉強なんかはどうでしょうか?」

体子「院内研修は休憩室にスケジュールが貼ってあるわよ。病棟でも勉強会は毎月やっているけど、みんなゆっくり勉強したいから時間外なのよね。来れる?」

育子「時間外ですか・・・子供のこともあるので、いつもとはいきませんが、予定がわかれば参加できる日もあると思います。」

体子「そもそも、消化器外科は残業も多いからねぇ。私も復帰早々は慣れなくて、保育園に子供を待たせたこともあったわ。」

育子「でも、体子さんはずっと外科系でしょう?ブランクから復帰もしやすかったんじゃないですか?」

体子「そうもいかないのよね。休んでいる間に電子カルテとか手術の技術とか薬とかも変わったし、創傷管理の常識までひっくり返っていたもの。知っていた分、変化についていくのも大変だったわ。」

育子「そういうこともあるんですね。」

体子「それに、消化器外科は体育会系でしょう?みんなで頑張って助け合って、先輩を敬って・・・そういう雰囲気を知っているからこそ、自分は残業しないで帰る、ってことに気を遣ってしまってね。」

育子「みんなが残っているところで先に帰るのは、確かにちょっと気が引けるかも。」

体子「割り切らないと仕方ないよね。でも、子育てのために私は業務を軽くしてもらっているから、その分の仕事が誰かに回っているわけでしょう、余計に申し訳ないところもあって。」

育子「ありがたいけど、それはそれで複雑な気持ちになってしまいますね。」

体子「だから、その分、仕事を早く終われるように努力して、時間内に他の人の処置を手伝えることは手伝うとか、そういう風にしてるの。」

育子「はぁ、気を遣いますね。」

体子「そうね。そもそも仕事の量が多い病棟だから助け合いは必要だと思うの。でも、お互いに変な気を遣わないためにも『自分がここまではできる、これは無理』っていうことははっきりさせたほうがいいと思うわ。」

育子「なるほど。」

体子「よし、記録できた!あとは、申し送り・・・誰か、処置が追い付いていない人がいたら手伝おうか?育子さんの練習にもなるしね。」

育子「はい。」

育子は体子と一緒に手術のお迎えや血糖値測定などを手伝って残りの時間を過ごしました。定時前、内田師長に育子と体子は呼び止められました。

師長「育子さん、久しぶりのお仕事、どうだった?」

育子「1日の流れや雰囲気はなんとなくわかりました。でも、さすがに疲れました。自分が忘れていることも多かったので、取り戻すのが大変だなと思います。」

育子「体子さんのように自分と似たような境遇の先輩がいてくださって助かりました。とりあえずは何でも聞けることは聞いて、やっていきたいと思います。」

体子「師長さん、一部の技術についてですけど、新卒さんの技術研修に参加してもらったほうがいいかもしれないので、研修予定を教えてあげてほしいんですけど・・・。」

師長「ふぅん、そうなの?じゃあ、探して渡すわね。あら、もう定時ね。さ、仕事が終わったなら帰ってね。じゃ、お疲れ様。」

師長は意外にもあっさりと帰ってしまいました。

体子「育子さん、初日にこんなこと言うの何だけど、師長さんはスタッフとして外科で働いたことがないから、外科の仕事があまりよくわかっていないのよ。」

育子「???」

体子「だから、ちょっと無茶なシフトをつけられたりするから、師長さんにこそ、勤務でどこまでできるかとか、できないシフトとか、しっかり話しておいたほうがいいわよ。」

体子「ブランクがあるってどんな感じかも師長さんにはあまりわからないだろうと思うの。実は、今日も私が指導を申し出たのよ。」

育子「そうだったんですか?ありがとうございます!」(体子さんの心遣い、神対応です!)

体子「技術的なことでも困ることがあるだろうから、どんどん自分から正直に言ってもらいたいの。私も気を付けるけど、そこは社会人として育子さんを信頼するからね。」

育子「はい、わかりました、頑張ります。」

体子「さ、私たちも帰ろ、帰ろ!」

技術や知識や師長さんのことも含めて不安はありますが、体子さんという頼もしい先輩もいるし、何とかやっていけそうかな?と思う育子でした。

育子(さぁ、明日から休職前の遠い記憶をかき集めつつ、頑張ろう!)

いかがでしたか?育子さん、ブランクを経て初の消化器外科は色々な驚きあり、発見あり、不安あり、でしたね。

幸いなことに体子さんという消化器外科をよく知っていてしかも似た境遇の先輩がいたので、不安ながらもなんとかやっていけそう、というところでしょうか?

でも、必ずしも、あなたが再就職した時に体子さんのような先輩がいるわけではないかもしれませんし、内田師長さんのようにブランクから復帰するスタッフのことをよく考えられない上司がいるかもしれません。

では、ここからは看護師がブランクを経て消化器外科に再就職するということがどんなことなのかを、具体的に見ていきましょう。

消化器外科にブランクがある看護師が再就職するとき、採用にブランク期間は影響するの?

消化器外科は超急性期から回復期や終末期の患者さんまで幅広く扱う分野です。このため、消化器外科看護師には高い専門性が求められます

また、業務も忙しい場合が多いため、体力も求められますし、手際よく仕事を進められるような経験も求められますし、できるだけ即戦力となれるようなキャリアの持ち主には好感が持たれるでしょう。

このように、消化器外科の特殊性・専門性の高さから言って、できるだけ早く仕事に慣れて病棟の戦力になれるのにはブランクが短いに越したことはありません

とは言え、このようなことはどの職場でも同様に言えることですので、消化器外科を希望しているならば、ブランクが長いというだけの理由で配属を外されたり採用されないということは少ないと思われます。

ただし、もしあなたが消化器外科への配属を強く希望しているのであれば、ブランクが長ければ長いほど配属には不利になることはあり得ます。

消化器外科を希望するなら、あなたの消化器外科への志望動機や看護観を明らかにしておくこと、あなたが消化器外科でどんな貢献ができそうか、ブランクのハンデを解消するためにあなたが努力できること、を明らかにしておきましょう

では、ブランクのハンデを解消するにはどんなことが可能でしょうか?もちろん個人的な努力も必要ですが、病院で扱っている手術分野や教育制度を確認しておきましょう。

消化器外科を扱っている病院にも様々あり、比較的軽い手術(胆嚢摘出術や鼠径・腹壁ヘルニア手術など)を扱っている病院であれば手術の影響も小さいため、看護師のブランクにも寛容だと考えられます。

育子さんが再就職したような急性期病院や大規模な病院では、侵襲の大きな手術が行われて手術科目も幅広く、専門性を今から身に付けるには大変かもしれません。その一方、教育制度がしっかりしていることも多いです。

このように、病院の特徴を見たり情報収集をして、自分のブランクやこれから看護でやりたいことに相応な病院を選んでおくことも大切です。

消化器外科に看護師がブランクを経て再就職するときの弱み・気を付けておきたいことは何?

ブランクがあると、看護師としてはハンデになる、と思いますよね。ブランク前の経験年数が短いとなおさらだと思われます。

ブランクがあると気になるのは、主に技術・知識・体力などの点で自分が新しい職場についていけるかどうかではないでしょうか?

ここでは、経験年数や子育てなどあなたの周りの状況に応じて、どんなことがあなたの弱みになり得るか、あなたのブランクからどんなことが起こり得るか、どんなことに気を付けておくと良いか、を考えてみましょう。

ブランクが短め(5年以内くらい)のあなたの場合

ブランクが比較的短いあなたの場合は、まだ仕事の記憶も新しく仕事のイメージもつきやすいため、復帰にはそれほど弱みにはならないかもしれません

再就職先としても、即戦力になり得る人材として期待がかけられることでしょう。ブランクも3年以内程度なら再就職先としてもほとんどブランクとは見なされないかもしれません。

ではブランクが短い場合にはどんな困ったことが起こるのでしょうか?

消化器外科の経験があるというあなたの場合

育子さんが配属された病棟の先輩、体子さんのような位置づけになる人達に当たります。

このようにブランクが短い看護師の中でも、消化器外科経験がある人はなおさら即戦力としての期待もされやすいでしょうし、自分でもできるという思いが多少なりあるのではないでしょうか

しかし、再就職してみると実際にはブランクはやはりブランクで、特にここ数年は技術の進歩や医療情勢の変化が著しいので、自分がその変化に置いて行かれていることを少なからず感じることがあるでしょう

また、多少なり仕事の感覚が鈍っているので、思うように仕事が進まない自分にもどかしさを感じることもあるかもしれません。

消化器外科病棟の雰囲気や忙しさを知っているがゆえに、体子さんのように気を遣わざるを得ないかもしれませんね。

実際にはただあなたがブランクのせいで置いて行かれているのではなく、医療技術は常に進歩するものなのですから、看護の仕事をしているうちは勉強がどうしても必要なものです。

体子さんのように、自分にできることできないことを明確にして、親しみのある消化器外科の雰囲気もある程度割り切って、できる努力からしつつ仕事に臨むことが賢明かもしれませんね。

また、同じ消化器外科でも病院が変わるとかなり手術科目や受け入れている患者層も違う場合はよくあることなので、再就職先の消化器外科病棟の診療科目などを調べておくことも大切でしょう。

消化器外科の経験がないというあなたの場合

消化器外科の経験がなくとも、看護師として病棟経験があってブランクが比較的短い人は、それだけで即戦力と見なされやすいでしょう。

ブランクが短いけれど消化器外科経験がない看護師は、消化器外科病棟の業務内容や雰囲気が、自分が以前に経験した部署とは違うことにまずは驚くのではないでしょうか。

そして、自分が全く違う環境や知識の中で期待されるような仕事をしていくことができるか、不安になってしまうかもしれません。

育子さんはブランクが5年以上でしたが消化器外科経験がないために、体子さんの看護や業務や病棟の雰囲気を見て驚いていましたよね。特に内科系の経験しかない看護師が消化器外科に初めて配属されると、ブランクがなくても馴染むのが大変なようです。

ブランクが短いと、以前の職場の記憶も新しいために、かえって余計にそのギャップに驚くかもしれません。また、消化器外科独特の雰囲気に飲み込まれてしまうかもしれません。

育子さんが体子さんからサポートされていたように、似たような境遇の先輩がいて消化器外科病棟の特徴を教えてくれるといいですが、実際にはなかなかそうもいきません。

ですから、再就職先の消化器外科がどんな雰囲気なのかどんな業務内容なのかなどをあらかじめ調べておいて業務のイメージをしていくこと、また教育制度を確認しておくことがお勧めです。

ブランクが長め(5年以上くらい)のあなたの場合

ブランクが長いとそれだけで、看護師として職場復帰するのに体力・技術・知識への不安はぬぐいきれないところがあるかと思います。

長いブランクを経て再就職してみると、育子さんのように忘れていることや技術としてできなくなっていることや体力が追い付かないというようなことにどうしても遭遇することになるでしょう

まず、体力的には消化器外科は忙しいうえに体を使う処置やナースコールが多い病棟ですし、手術対象の高齢化や記録物の増加などによってもさらに忙しさは増しています。

長いブランクを経た看護師は再就職のときに最も不安に思うのは体力かもしれません。育子さんも体子さんの仕事量の多さにまず驚き、実際に一日の流れを見ただけでへとへとになっていました。

また、消化器外科の技術や医療を取り巻く環境はこの数年から10年でかなり変化しています。これは消化器外科だけに限ったことではありません。

育子さんが驚いたような電子カルテの普及の他に、看護診断の普及、様々な計画書など書類や記録物の増加、医療事故予防の重視、新しい技術・薬・治療、技術の発展に伴う治療対象層の高齢化など、取り上げるときりがないほどです。

再就職してみたら、ブランクで自分の時間が止まっているだけでなく、自分が予想している以上にあるいは予想と違う方向に医療情勢が進んでいた、というような状況に必然的に身を置くことになります。

そして、ここでさらに気を付けなければいけないのは、消化器外科病棟は専門性が高く患者さんの緊急性も高い部署なのです。また、業務量が多く、仕事がとても忙しい部署でもあります。

つまり、消化器外科は、覚えることがとても多いのにそれに反してとても忙しくてその時間が十分にとれないかもしれない部署なのです

知識や技術や体力が追い付かなくなっている上に、知らない間に進んだ変化にも対応しなければならないので、再就職してそれに馴染むのはとても大変なことになるかもしれません。

また、体子さんが言っていたように、年齢を経るだけでも新しいことを覚えたり新しい環境についていくことも負担になることもあります。

そこで、再就職するときには何かしらの準備をしておくことがとてもお勧めです。再就職先の業務内容は記録物などまで確認しておくに越したことはないでしょうし、病院の教育制度や研修制度にも注目しておきましょう

病院によってはブランクがある看護師向けに、あるいは新卒の研修と同時に、技術研修を行っている病院もあります。

しかし、すべてのことを再就職する前に準備することは無理なので、そこは業務の中で新しく覚えたり思い出したりすることになるでしょう。

そこで大切なのは「できることはできる、できないことはできない」と言える姿勢です。自分の知識や技術を常に確認しながら仕事にあたることで、自分の不安も解消できますし、周囲はあなたを信頼できるでしょう。

また、体力的に無理をしないためにも、シフトや仕事量についても「できる」「できない」を最初から明らかにすることも大切です。

育子さんはまだ仕事を再開したところでこれからどうなるかわかりませんが、師長さんがあまり消化器外科の業務に詳しくない人のようなので、だからこその意思表明は必要だと体子さんも言っていましたよね。

消化器外科の経験があるというあなたの場合

とは言え、同じ消化器外科なんだから大丈夫だろうと思っている人もいるでしょう。もちろん、大丈夫な点もあります。一般的な病態生理の理解には数年ならばあまり変化はないでしょう。

しかし、ここ数年で創傷管理の考え方もかなり変わってきています。テープ類など清潔材料や創傷保護材の進歩も著しいです。材料は業者との関係もあって、病院が変わるとかなり違う物が使われていたりもします。

また、手術では手術対象が圧倒的に高齢化していて、育子さんが見たように75歳以上の後期高齢者でも手術による治療対象になっていて、日常生活に手がかかりますし合併症のリスクはとても高くなっています。

薬剤では抗がん剤が開発されることで様々なレジメンが増えています。また、麻薬などの取り扱い量はかなり増えていて、それに対して管理は厳しくなっています。

体子さんも言っていたように、休職中に消化器外科を取り巻く状況はかなり変わっているものと思ってまずは心の準備をしておきましょう

その消化器外科に必要な知識を再就職前から勉強して準備しておくならば、病院の術式や疾患に注目しておきましょう。最近はネットで術式や患者用のクリニカルパスを公開している病院もあります

体子さんが育子さんに見せていたクリニカルパスのように、自分が勉強しやすいものを就職先で見つけることも良いかもしれませんね。

消化器外科の経験がないというあなたの場合

消化器外科経験がなくブランクが長い、というあなたの場合は、特に消化器外科に関しては一から勉強するものと思っておいたほうが良いかもしれません。

職場経験がないということは学生時代の知識、ということなので、かなり以前の古い知識、ということになります。解剖整理や病態生理や基本的な考えは参考になるかもしれません。

育子さんもブランクを置いて初めての消化器外科で、自分がこれからどれほど勉強しなければいけないのかと、その時間も十分とれるかと不安になっていました。

ですから育子さんは効率よく勉強するにはどうしたら良いか、クリニカルパスを見せてもらったり勉強会や研修のことを確認していましたよね。

そんな風に参考にしたり勉強しやすい資源を探したり、病棟の勉強会や病院の教育制度・研修制度がどうなっているかあらかじめ確認しておきましょう

また、消化器外科経験がないと、消化器外科病棟の体育会系の雰囲気にも驚くかもしれません。育子さんのように、患者さんに辛いことをはっきり伝えなければいけないことにストレスを感じるかもしれません。

再就職する前に病棟の雰囲気や職場にどんなスタッフがいるかなども調べておくとなお良いでしょう。やはり年齢層が近いスタッフがいたほうが、相談もしやすいし、共感も得られやすいことが多いです。

子育て中、あるいは介護など家庭や家族あるいは自分のための時間を確保したいというあなたの場合

ここまではブランクの期間に応じてお話をしましたが、お忘れなく、職場が変わるだけでなく、あなたの人生も休職前とは変わっているということ・・・。

育子さんが体験したように、消化器外科病棟は忙しい病棟が多いです。他の分野と比べると残業も多いようです。病院によっては休みがとりづらい、あるいはあまり休み希望をたくさん出せない、ということもあります。

結婚や出産を機に休職し、育児をしながら、初めての再就職、というあなたの場合は、就職する前にその病棟や病院の残業時間や年休の取得率・夜勤日数などや職場の雰囲気・看護方式を確認しておくと良いでしょう。

消化器外科は忙しいですし、独身の若いスタッフの割合が多い病棟です。忙しさを体育会系のノリ、気合いや頑張りでクリアしようという雰囲気の職場が多いのです。

子供がまだ乳幼児期だと、保育園のお迎えに定時で帰りたいとか、病気などで急な休みを取らざるを得ないようなこともよくありますが、消化器外科ではこれがしづらいことがあります。

育子さんもさすがに周りが仕事をしている中で自分だけ軽い仕事をして早く帰るのは気が引ける気がする、と感じていましたね。

ですので、まずは実際に残業が少ない職場や年休取得率の良い病棟のほうが安心して働けますよね。また、体育会系の雰囲気でも「みんなで早く帰ろう!」という雰囲気の病棟もあります。

看護方式では、今は少なくなっていますが、機能別看護では処置系の係に当たればちょっと体はしんどいですが定時に処置を終えて帰りやすいでしょう。

プライマリー制の病棟でも育児中の看護師に合わせて処置担当係を置いているところもありますし、パートナーシップ制ではパートナーとの仕事の調整が可能です。

いずれにしても、体子さんが言っていたように、消化器外科は業務量自体が多い病棟ですので、自分だけが早く帰れば良いというのではなく、お互いに協力する気持ちは同僚として大切にしたいものです。

また、消化器外科は専門性が高い病棟です。患者さんに命の危険がないように、良い看護をしたい、と思えばどうしても勉強が必要になります。

子育て中あるいは介護など家庭や家族あるいは自分のための時間を持ちながら、勉強会や研修に参加したり自習する時間をバランス良く確保できるように、できるだけ効率よく勉強できる病院や病棟を選んでおくと心強いですよね。

ですから、病棟でどんな勉強会をやっているか、病院の教育制度や研修制度はどうなっているか、効率よく勉強できるシステムがあるかどうかを確認しておきましょう

勉強して消化器外科看護がわかってくると、育子さんが術後翌日に歩行している患者さんや家族の様子をみて感激していたように、消化器外科の楽しさややりがいは他に代えがたいものがありますよ。

消化器外科に看護師がブランクを経て再就職するときの強み・再就職の時に売り込みたいことは何?

ここまで、ブランクによるハンデやリスクなど、さらに再就職が怖くなるような話ばかりしてきました。でも、まだ嫌になるのは早いですよ。

ブランクやあなたの様々な経験が強みになったり、再就職するときの売りになることもあるんです。そこを見ていきましょう。

何と言っても、ブランクがあるとは言え、新卒看護師と比べると実務経験があるのは宝です。そして、ブランクの間の様々な人生経験や社会人として自立した考えや意識は、患者さんや新しい職場への貢献になり得るんです。

育子さんは自分に自信がないところばかりに目が行っていましたが、師長さんや体子さんはブランクがある看護師でも強みになることを少し話していましたよね。

ブランクが短め(5年以内くらい)のあなたの場合

ブランクが比較的短いあなたはもちろん、即戦力として期待されるでしょう。再就職で自分を売り込むときには、自分の経歴だけでなく、細かい実務経験なども明確にして出せるように準備しておきましょう

どんな患者さんへの看護でどんな結果を出したか、どんな時期にどんな委員会でどんな仕事をしたか、どんな研究をしてどんな論文を書いたか、などです。

消化器外科の経験があるというあなたの場合

ブランクが比較的短く、消化器外科の経験があるというあなたは、知識も経験も比較的新しいのでかなり活かすことができるでしょう。これはアピールするしかありません。

また、再就職を機に病院を変わるという人は、以前働いていた病院での知識や経験も活かせるのでそれも歓迎されるでしょう。

病院はどうしても内部の手法にとらわれがちなものです。観点が違う意見や手法は歓迎されることもよくあります。

ブランクがあると遠慮せずに、「こうしたほうがいいかも」と思うことは主張していく積極性を出すと新しい職場でも喜ばれますよ。

体子さんもブランクが短めで復帰したパターンで、本人評価は低かったですがおそらく本人が思っている以上に復帰してすぐにバリバリやっていたんだろうな、という雰囲気が感じられましたよね。

消化器外科の経験がないというあなたの場合

消化器外科は専門性が高いために、他科の知識や常識に弱いこともあります。

ブランクの短いあなたが持っている他科での経験や知識は、まだまだ新しい使えるものが多いですから、他科に関して「これは」と思うことがあればどんどん出していきましょう。喜ばれること間違いなしです。

特に、救急や集中治療室、循環器・心臓血管外科などの全身管理や急変対応ができる部署の経験は歓迎されます。また、育子さんがいた消化器内科は外科と治療で連携することもあります。

このほか、消化器外科では血糖コントロールにしばしば悩まされるので糖尿内科での知識も喜ばれます。泌尿器科では術後管理やウロストミーの管理が消化器外科と類似しています。

高齢者の手術で褥創や縫合不全やストーマトラブルも増えていることから、形成外科的な分野の知識も重宝されるでしょう。

ブランクが比較的長い(5年以上くらい)あなたの場合

ブランクがあるとどうしても不安ですよね。でも、実は、ブランクを不安に思っているあなたは正解だと、採用する側は受け取ります

看護師は人の命に影響する仕事ですし、危険を及ぼす業務です。ですから、ブランクがあってそれを不安に思う人は看護師として当然の必要な感覚を持っていると言えます。

また、その不安を正直に言えるあなたは看護師として職業人として信頼できると言えるでしょう。

ですから、再就職の際にはあなたの経歴やできることできないこと、不安も伝えて、それをどうやって解消できるかを話しましょう。

最近ではブランクがある看護師を受け入れるために教育制度や研修制度を整備している病院もずいぶん増えてきているんですよ。

また、最近では消化器外科でも手術対象年齢が上がって入院患者さんが高齢化してきているため、社会人としての経験があったり人生経験があって大人の対応ができる人が求められています

育子さんが説明を受けていたように、ブランク前の看護師としての経験もそうですし、ブランク期間の人生経験も求められているんですよ。

消化器外科の経験があるというあなたの場合

あなたが休職前に経験していた時とは状況が変わっていることもありますが、基本的な解剖整理や病態生理の考え方は役に立つでしょう。

そこからの応用や創意工夫は様々な経験を持つ看護師のほうが有利なこともあるのです。

育子さんが出会った大川さんのように、おいそれとはリハビリをさせてくれない患者さんもいます。こういう時には、どんな方法やどんな語り掛けがいいか、経験が豊かな人のほうがアイデアの引き出しをいっぱい持っていたりします。

また、今は創部の状態に応じて色々と便利な材料がたくさん出てきていますが、ストーマトラブルなどで特殊な創部になっているときに、その患者さんに合わせて工夫をしなければならないこともあります。

そんな時にも、便利な物があまりなかった頃にある材料で工夫していたことが役に立ったりもします。

消化器外科の経験がないというあなたの場合

消化器外科の経験がなくブランクが長めのあなたももちろん活躍の機会があります。

消化器外科の経験がなく、ブランクが長めのあなたは、もしかすると看護師という専門職の感覚を持ちながらも一番患者さんに近い存在かもしれません

消化器外科経験がある人や看護師のキャリアが長い人の「当然こうするべきだ」という感覚とは違う観点を持ちながら、患者さんに何が必要かを考えることができる人です。

育子さんはあまり声を大にして言ってはいませんでしたが、辛い・痛い・リハビリが嫌だと感じている患者さんに対して、正論だけを押し付けてリハビリをさせることはとても危険です。

もちろん、体子さんはそのことも考えてしっかり大川さんの話を聞いてアセスメントをした上で看護をしていましたが、これはベテランのスペシャリストがなせる技ですよね。

消化器外科経験が長い看護師や消化器外科に多い若い独身の看護師には、時々そんな患者さんを理解できずうまく対応することができないという場面もあります。

こんな時に、看護師という専門的な立場も取りながら世間的な常識や患者さんの正直な気持ちに寄り添えるブランクナースの優しさがとても役に立つことがあるのです

色々な人生経験を持つあなたなら、患者さんが考えることを一番くみ取れる可能性があるんです。育子さんのように患者さんに共感できる優しさはとても素敵ですよね。

子育て中・育児経験がある、というあなたの場合

消化器外科は意外と患者指導(特に術後リハビリ)にエネルギーを使うところです。しかも、術後リハビリはタイミング的には患者さんが嫌がるような痛みの強い時期から始めなければなりません。

痛みでリハビリを嫌がる患者さんや患者さんに痛い思いを少しでもさせたくないとリハビリを止めさせようとする家族にしばしば出会うことがあり、対応に困ることもあります。

こんな時、育子さんが体子さんから話を聞いていたように、育児経験は患者指導に活かせることがあります

もちろん看護師の個性にもよりますが、「子供のしつけをしっかりやってきた」というようなお母さん達は、「あなたのために必要なことなんですよ」と嫌がる患者さんにも言い切る勇気を持っていることが多いです。

また、なだめたり、説明したり、工夫したりと、患者さんがリハビリに取り組めそうなアイデアも色々と出てきたりします。

社会に出て間もない若い看護師達が少なくない消化器外科では、こういう風に多少辛くても必要なことを患者さんに伝えて工夫することができる人材はとても貴重です。

それに、育子さんや体子さんみたいに育児しながらでもバリバリ働いている先輩が病棟にいると、周りの若い独身の看護師達にも波及効果があって離職率の低下につながったりもするので、病院としては実はありがたい存在なんです

消化器外科を始め、どこの病院でも看護師の人材不足はなかなか深刻な問題です。病院としては、せっかく確保した看護師の離職を避けたいので、育児しながら働くワークモデルが必要なのです。

子育てしながら仕事を続けられるような職場環境を作っていくためにも、育児をしながら働いている看護師の意見はとても貴重なんですよ。

子育てがひと段落している、仕事に自分の時間を投入したいというあなたの場合

消化器外科に限らず、どこの病院でも人材不足は深刻で、ブランクナースもぜひぜひ採用したいというところはどんどん増えている状況です。

そこで、子育てがひと段落しているなど、仕事にあなたの時間を十分に投入したいという人は大歓迎されるでしょう。

消化器外科は仕事が忙しく残業も多いですが、その分、フルで働けば十分な収入を上げることができる職場でもあります。子供の成長やライフスタイルに合わせてぜひとも収入を上げたいというあなたには良い職場かもしれません。

また、今後も看護師として仕事を続ける上で、再就職するこの際にキャリアアップにチャレンジしたい、という人もいるかもしれません。そんな人にも消化器外科は向いている職場だと言えます。

消化器外科は超急性期から回復期・終末期まで様々な患者さんがいて、手術はじめ抗がん剤や緩和療法など様々な治療がありますし、急変対応や全身管理も必要な部署です。

つまり、消化器外科はここから様々にスキルアップすることも可能な病棟なのです。ブランクからの復帰を機に、仕事を頑張ってみようかな、という人はぜひそんな自分をアピールしてみてください

まとめ

どうでしたか?ブランクを経ての再就職は、ブランクが採用や仕事のハンデになることもありますし、そのせいで不安になることもありますよね。

消化器外科は専門性があり特徴的な部署ですから、どうしてもブランクをハンデに感じてしまうようなことも起こり得るでしょう。

また、ブランクを経た分、再就職するとそれなりの努力がどうしても必要とされるということも感じていただけたでしょうか。

しかし、その一方で、あなたが休職前に経験したことやブランクの間に積んだ人生経験は、消化器外科でも十分に活かし得るということも感じてもらえたのではないでしょうか。

ここまで読んでみて、「消化器外科に再就職してみたい」という方もいるでしょうし、「消化器外科に再就職するのは不安かも」と感じた方もいるでしょう。

どちらにしても、消化器外科にブランクを経た看護師が再就職するには、何か病院や病棟の情報を収集して準備をしておいたほうが良さそうですよね。

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